たきがみ博士が選ぶ”すてきなメッセージ”のおすそわけ

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想いの発信! ソート・リーダーシップ [Thought leadership]

ソート・リーダーシップ Thought leadership、戦略コンサルティングのマッキンゼー・アンド・カンパニーがユニークな主張を表す用語として使い始めた。

背景には、宣伝広告や派手なブランド戦略の費用対効果が低下してしまった事情がある。

社会の進歩や情報化によって消費者は浅薄でやらせ的なコンテンツには反応しにくくなった。
市場が成熟し、機能面で差別化できていない商品が増えた事情もある。

しかし、消費者は耳をふさいでしまったわけではない。新しい価値あるものやサービスには出会いたいと思っている。
表面的な話題づくりではなく、企業の本音や本当の意思、思いに触れられる対話を求めているのだ。

どのような新しい発想や価値観で驚かせてくれるのか。世の中をどんなふうに変えようとしているのか。姿勢に共感できるのか――。

深いつながりを求め、期待に真剣に応えてくれる企業とだけ、付き合おうという消費者が増加している。モノとしての商品ではなく、コト(自分の価値観やライフスタイル、経験との共同化)を求めているわけだ。

すなわち、企業のソート=「知見、志、思い、確信、信念」を聞きたいし、それにこそ賛同したいのである。

ソートに共感することで、「だからこの商品・サービスがいいんだ」と納得したいのだ。


消費者から共感を得られるソートを打ち出した好例がスターバックスコーヒーである。

同社の人気は、単にコーヒーや店舗デザインというモノの価値によるものではない。
「最高の豆を深煎りした1杯のコーヒーを飲み、家庭でもオフィスでもない自分だけの場所でくつろいでもらいたい」という創業者ハワード・シュルツの確固たる信念が支持を得ている。

彼らの表現で言えば“The Third Place(第3の場所)”が同社のソートである。
「最高のThird Placeを通じて社会に癒しを提供する」というおもてなしの心を表している。
このコトづくりに消費者は共感し、雰囲気を求めてやってくる。

また、IBM、シスコシステムズ、ヒューレット・パッカード、アマゾン、グーグルなど米国の大手IT企業はみなソートを打ち出して、差別化と顧客接点の濃密化、つまり対話を図っている。

モノからコトへの顧客接点の高度化を着実に進めている。

ソート・リーダーシップ活動とは、こうした自社のソートを掲げ、その第一人者として振る舞い、社会にレピュテーション(評判)を構築していく取り組みである。


その特徴は、

(1)ソート・リーダーシップでは、自社の戦略を一方的に主張したり、商品やサービスを
  宣伝したりするのではなく、特定の社会的課題や経営テーマを主張・提言する。

(2)その主張や提言は、時代を先取りして社会や顧客の課題をとらえ、本来望ましい社会の
  姿を洞察し、自社のコア能力や知見をベースにした革新的な思考やソリューションの
  方向性を示している。

(3)企業からの一方的な主張に陥らないように、学識経験者やNPOなどをはじめとする広範な
  第三者と課題を共有し、解決に向けて取り組み、その実現をリードしている。


(4)こうした取り組みを通じて、広く社会の関心・議論を呼び起こし、自社の志と能力を訴えて
  共感を形成し、認知度を上げ、そのテーマの第一人者として社会で尊敬される
  レピュテーションの獲得を目指す。

(5)結果として当該課題領域での自社の優位性の認知につながる。

このように、米欧企業は社会に対してより幅広くかつ深くコミュニケーションを取ろうとしている。

それに引き換え日本企業はタレントを使った広告宣伝頼みであり、「企業としてのメッセージ」が伝わってこない。いいモノさえ作ればいいのだというプロダクトアウトの発想から抜け出せていない。


世界全体が次の時代の絵姿を求めている今、日本企業はビジョンを描けず沈黙しているとみなされている。

しかし本来は、ものづくりで最高水準にある日本企業こそが、社会に向けて
「これからの社会を自分たちはこう想定している。だからこういうコトを提供する。そのための高品質のモノがこれだ」とメッセージを発信すべきではないか。

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徳岡晃一郎さん(CCWジャパン プレジデント)からいただいたメッセージを、一部加筆編集して掲載しました。


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  1. 2009/09/02(水) 22:38:41|
  2. 課題構想(政治経済・マーケティング)|
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